サラリーマン必見!社会保険料「算定基礎届」って何?あなたの手取りが変わる仕組み

コラム
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 毎年夏が近づくと、会社の人事や経理部門では「算定基礎届(さんてい きそ とどけ)」という書類の準備が始まります。この言葉を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、「自分には関係ないかな?」と思っているサラリーマンの方も少なくないかもしれません。

 しかし、実はこの算定基礎届は、皆さんの毎月の社会保険料、ひいては手取り額に大きく影響する非常に大切な手続きなんです。今回は、サラリーマンの皆さんの視点から、算定基礎届の仕組みと、それが皆さんの生活にどう関わるのかを分かりやすく解説していきます。

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「算定基礎届」って、そもそも何?

 「算定基礎届」とは、健康保険や厚生年金保険といった社会保険の毎月の保険料の基準となる「標準報酬月額」を決めるために、会社が年金事務所に提出する書類のことです。

 この標準報酬月額は、毎年7月1日現在で、皆さんの4月、5月、6月の3ヶ月間に実際に支払われた給与(報酬)の平均額を基に算出されます。この平均額を、国が定めた等級表に当てはめることで、標準報酬月額が決まります。

 そして、この新しい標準報酬月額に基づいて計算された社会保険料は、その年の9月分から翌年8月分までの1年間適用されます。ただし、実際に皆さんの給与から引かれるのは、通常、9月分の保険料が支払われる10月の給与からとなります。このタイムラグは少しややこしい点なので、覚えておくと良いでしょう。

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あなたの社会保険料はどう変わる?

 社会保険料は、この標準報酬月額に決められた保険料率をかけて算出されます。

  • もし4月・5月・6月の給与が高かった場合、標準報酬月額も上がり、それに伴って毎月の社会保険料が増えることになります。結果として、10月以降の手取り額は減ることになります。
  • 逆に、この期間の給与が低かった場合は、標準報酬月額が下がり、社会保険料が減るため、10月以降の手取り額は増えることになります。

 特に、この期間に残業が多かったり、出張手当などが多く支払われたりすると、その分も報酬に含まれて標準報酬月額が上がる傾向があるため、注意が必要です。

どんな給与が「報酬」に含まれるの?

 社会保険の「報酬」とは、基本給だけでなく、会社から支給されるほとんどの手当が含まれます。

  • 含まれるもの: 基本給、役職手当、通勤手当、家族手当、住宅手当、残業手当、皆勤手当、そして現物で支給される通勤定期券なども含まれる場合があります。
  • 含まれないもの: 賞与(ボーナス)は、算定基礎届とは別に「賞与支払届」で計算されるため、この3ヶ月の報酬には含まれません。また、出張旅費や慶弔見舞金なども原則として報酬には含まれません。

 日々の業務で発生する残業代などが、意外な形で将来の保険料に影響を与えているわけですね。

サラリーマンが知っておくべきポイント

 皆さんが算定基礎届に関して意識しておきたいポイントは以下の通りです。

  • 4月・5月・6月の給与に注目: この期間の残業や各種手当の増減が、10月以降の社会保険料に影響します。例えば、この期間だけ極端に多くの残業をすると、その後の1年間、高い保険料を支払うことになる、というケースも考えられます。
  • 10月以降の給与明細の確認: 10月の給与明細からは新しい社会保険料が適用されます。手取り額の変化に注意し、自身の標準報酬月額がどうなったかを確認する習慣を持つと良いでしょう。
  • 「随時改定」も知っておこう: 算定基礎届は年に一度の定期的な見直しですが、大きな昇給や降給などにより給与額が大幅に変動した場合は、「随時改定」として年途中でも標準報酬月額が見直されることがあります。
  • 将来の年金にも影響: 毎月支払う厚生年金保険料は、将来受け取る年金額にも影響します。保険料は単なる支出ではなく、将来の保障に繋がる大切なものだという視点も忘れないようにしましょう。

知ることが、あなたの家計と未来を守る

 算定基礎届は、私たちの給与と将来の保障に直結する大切な手続きです。その仕組みを理解し、自身の給与明細を定期的に確認する習慣を持つことで、家計を賢く管理し、将来設計をより確かなものにすることができるでしょう。

 

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