「笹の葉さらさら、のきばにゆれる、お星さまきらきら、きんぎんすなご…」
今日は七夕ですね。夜空を見上げ、短冊に願いを込めるこの日は、日本の夏の風物詩です。そして、七夕といえば、誰もが一度は口ずさんだことのある「たなばたのうた」(正式名称は「たなばたさま」)が思い浮かびますね。
この美しい歌の歌詞の中には、耳慣れない、あるいは意味を深く考えたことのない言葉が含まれています。「のきば」や「きんぎんすなご」とは、一体何を指しているのでしょうか?
これらの言葉の情景を理解すると、歌の世界がより一層鮮やかに広がります。
「のきば」(軒端)とは?
歌の冒頭に出てくる「のきば」は、漢字で書くと「軒端」となります。これは、家の屋根が壁よりも外側に突き出している部分、つまり「軒(のき)の先端」を指します。
かつての日本の家屋では、この軒端から七夕飾りの笹が吊るされているのが一般的な光景でした。そのため、「笹の葉さらさら、のきばにゆれる」という歌詞は、風にそよぐ笹の葉が、家の軒先で優雅に揺れている様子を歌っているのです。都会ではあまり見かけなくなった景色かもしれませんが、昔ながらの家並みを想像すると、その情景が目に浮かぶようです。
「きんぎんすなご」(金銀砂子)とは?
次に、幻想的な響きを持つ「きんぎんすなご」についてです。これは漢字で「金銀砂子」と書きます。
「金銀砂子」とは、金箔(きんぱく)や銀箔(ぎんぱく)を非常に細かく砕いた粉のことを指します。これらは、日本画や蒔絵(まきえ)、襖絵(ふすまえ)などの伝統工芸において、散りばめることでキラキラとした輝きや、奥行きのあるきらめきを表現するために使われてきました。
この歌では、夜空に輝く「お星さま」を、まるで天の川に散りばめられた金や銀の粉のように見立てているのです。無数の星々が瞬く夏の夜空を、「金銀砂子」という言葉で詩的に表現し、その美しさと神秘性を歌い上げています。
言葉が織りなす七夕の世界
普段何気なく口ずさんでいる童謡の中にも、このように日本の美しい風景や伝統的な表現が詰まっています。「のきば」と「きんぎんすなご」は、それぞれが描く情景を深く理解することで、七夕の夜空の輝き、笹飾りの揺らめき、そして古くからの人々の暮らしや美意識を感じさせてくれます。
今年の七夕は、この歌を口ずさむ際に、それぞれの言葉が持つ意味や背景を思い浮かべてみてください。きっと、これまでとは違う、より豊かな七夕の情景が心の中に広がるはずです。
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