PCを使った作業において、マウスやキーボードは欠かせないツールです。しかし、長時間同じ姿勢で作業したり、頻繁にショートカットキーを操作したりする中で、「もっと効率化できないか」「手の負担を減らせないか」と感じることはないでしょうか?
そんな悩みに応えるツールとして、近年注目を集めているのが「左手デバイス」です。その名の通り、PC作業中に左手で操作することを前提とした入力補助機器の総称ですが、多くは左右どちらの手でも使えるようにカスタマイズ可能なため、柔軟な使い方ができます。画像や動画編集といったクリエイティブ分野に留まらず、実は一般的な事務作業においても絶大な効果を発揮します。
今回は、左手デバイスの魅力と、その幅広い活用方法について掘り下げていきましょう。
左手デバイスとは?その魅力
左手デバイスとは、キーボードの左側に配置し、左手で操作することを前提とした入力補助機器の総称です。主に、以下の特徴を持っています。
- プログラム可能なボタン: 複数のキー操作を記憶させ、ワンボタンで実行できる「マクロ機能」を備えているものが多く、複雑なショートカットキーも簡単に呼び出せます。
- ダイヤルやジョイスティック: 画像の拡大縮小、ブラシサイズの変更、音量調整など、直感的な操作が可能です。
- エルゴノミクスデザイン: 長時間使用しても疲れにくいよう、手の形にフィットするデザインが採用されているものが多いです。
これらの機能により、右手はマウスやペンタブレットに集中したまま、もう一方の手で効率的に各種操作を行うことが可能になります。
クリエイティブ作業での活用事例
左手デバイスが最初に注目されたのは、PhotoshopやIllustratorでの画像編集、Premiere ProやDaVinci Resolveでの動画編集といった、頻繁にショートカットキーや細かい調整が必要なクリエイティブな分野でした。
- 画像編集: レイヤーの切り替え、ブラシサイズの調整、拡大縮小、元に戻す(Undo)、色の選択など、多数の機能を指一本で操作できます。
- 動画編集: タイムラインのズームイン・アウト、クリップのカット、エフェクトの適用、再生・停止など、編集作業の速度を格段に向上させます。
- 3Dモデリング/CAD: 視点移動、オブジェクトの選択、ツールの切り替えなど、複雑な操作をスムーズに行えます。
これにより、作業の集中力を途切れさせることなく、より直感的かつスピーディーに作業を進めることができ、クリエイターにとっての「時短」と「ストレス軽減」に大きく貢献しています。
事務作業での意外な活用方法
「事務作業で左手デバイス?」と思う方もいるかもしれませんが、実はそのポテンシャルは計り知れません。ルーティンワークや繰り返しの多い作業ほど、左手デバイスの効果を実感しやすいでしょう。
1. ドキュメント作成・編集(Word, Google Docsなど)
- 頻出操作のワンボタン化: 「コピー」「貼り付け」「元に戻す」「上書き保存」「太字」「下線」といった基本的な操作をボタン一つで実行できます。
- 書式設定の効率化: 段落スタイル適用、文字サイズの変更、箇条書きの挿入などを素早く行えます。
- 定型文・テンプレートの呼び出し: よく使う挨拶文や署名、契約書のテンプレートなどを登録し、瞬時に挿入できます。
2. 表計算ソフト(Excel, Google Sheetsなど)
- セル移動・選択の高速化: カーソル移動、範囲選択、行・列の挿入・削除などを効率的に行えます。
- 関数・書式設定のショートカット: SUM関数やAVERAGE関数、セルの結合、表示形式の変更などを割り当てられます。
- シート・ブック間の移動: 複数のシートやファイルを行き来する際の切り替えをスムーズにします。
3. プレゼンテーション作成(PowerPoint, Google Slidesなど)
- スライド操作: スライドの追加・削除、順序入れ替え、オブジェクトの複製・整列などを直感的に行えます。
- テキスト・図形操作: テキストボックスの挿入、図形の描画、色の変更などを素早く実行できます。
- 発表時の操作: スライド送り、レーザーポインター機能の切り替えなど、発表をスマートに進行できます。
4. メール・スケジュール管理
- 定型メールの送信: よく使う返信文や添付ファイル付きメールのテンプレートを呼び出し、素早く送信できます。
- フォルダ振り分け: 受信メールを特定のフォルダに移動させる作業をボタン一つで実行できます。
- 新規イベント・タスク作成: カレンダーやタスク管理ツールでの新規項目作成を簡略化できます。
5. Webブラウジング・その他
- タブ操作: 新規タブ作成、タブの切り替え、タブのクローズなどをスムーズに行えます。
- ページスクロール・拡大縮小: ダイヤル機能があれば、WebページやPDFファイルのスクロールや拡大縮小が非常に快適になります。
- アプリケーション起動: よく使うアプリケーションを登録し、ワンボタンで立ち上げられます。
導入のポイント
左手デバイスの導入にあたっては、以下の点を考慮すると良いでしょう。
- 自身の作業内容を分析: 普段、どのようなショートカットキーを頻繁に使うか、繰り返しの作業は何かを把握することが重要です。
- カスタマイズのしやすさ: 多くの製品が専用ソフトウェアでボタンの割り当てを自由に変更できます。自身のワークフローに合わせて柔軟に設定できるものを選びましょう。
- 慣れるまでの時間: 最初は慣れない操作に戸惑うかもしれませんが、使いこなすほどに効率アップを実感できます。数日〜数週間は試用期間と割り切りましょう。
まとめ:生産性向上への新たな一手
左手デバイスは、もはやクリエイターだけの特権ではありません。ルーティンワークの多い事務作業や、PCを使ったあらゆる業務において、手や腕の負担を軽減し、作業効率を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。
「時短」や「働き方改革」が叫ばれる現代において、左手デバイスはあなたのデスク環境と生産性を大きく変える「新たな一手」となるかもしれません。ぜひ一度、その導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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