近年、日本で親しまれてきたジャイアントパンダたちが、相次いで故郷の中国へと帰国しています。愛らしい姿で私たちを魅了し続けてきた彼らの旅立ちは、多くのファンに寂しさとともに、今後の保全への期待をもたらします。
和歌山から4頭が旅立ち、日本のパンダは残りわずかに
記憶に新しいのは、2025年6月28日に和歌山県白浜町の「アドベンチャーワールド」から中国へ旅立った4頭のパンダたちです。
- お母さんの「良浜(ラウヒン)」(24歳)
- その子どもたちである「結浜(ユイヒン)」(8歳)
- 「彩浜(サイヒン)」(6歳)
- 「楓浜(フウヒン)」(4歳)
特に母親の良浜は高齢期に入っており、中国でより専門的なケアを受けながら穏やかに過ごすため、そして子である結浜、彩浜、楓浜は将来の繁殖相手を探すために、それぞれの故郷へと戻りました。彼らを見送るために多くのファンが駆けつけ、別れを惜しむ光景がニュースでも報じられました。
上野からも相次いで帰国
アドベンチャーワールドの4頭だけでなく、東京の上野動物園からも、近年多くのパンダが帰国しています。
- 特に人気を集めた「シャンシャン」は、2023年2月に中国へ。
- その両親である「リーリー」と「シンシン」も、2024年9月29日に帰国の途につきました。
彼らの帰国もまた、多くのファンが涙を流しながら見送る感動的な出来事となりました。
なぜパンダは日本にいて、そして中国へ帰るのか?~パンダ外交と保全の物語~
パンダが日本に来るのは、日中間の「パンダ共同研究繁殖プログラム」という貸与(レンタル)契約によるものです。これは、種の保存と繁殖を目的とした国際協力の一環であり、同時に「パンダ外交」とも呼ばれる両国間の友好関係の象徴でもあります。
通常、パンダの貸与期間は10年前後で、期間が満了したり、繁殖に適した年齢になったりすると、故郷である中国に帰ることが取り決められています。これは、パンダの血統管理や、繁殖計画全体を中国が統括しているためです。高齢のパンダや、繁殖期を迎えるパンダは、中国の専門施設でより良い環境やパートナーを見つけるために帰国することが多いのです。
日本のパンダ、現在は?
相次ぐ帰国により、現在日本で会えるジャイアントパンダは、上野動物園の双子の「シャオシャオ」と「レイレイ」の2頭のみとなりました。彼らもまた、協定の期限である2026年2月には中国へ帰国する予定となっており、現在、東京都が中国側と協議を進めている状況です。
さよならは、また会う日まで
パンダたちの帰国は、ファンにとっては寂しい出来事ですが、同時に彼らが種の保全という大きな使命を果たすための重要なステップでもあります。彼らが中国で元気に過ごし、新たな命を繋いでくれることを願うばかりです。日本の動物園で彼らと出会えた喜びと感謝を胸に、遠い故郷での幸せを願う日々が続くことでしょう。
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