最近、「欲しい車がなかなか手に入らない」という声を耳にすることが増えました。特定のタイプの新車を購入しようとしたら、手に入れたくても簡単には手に入らない状況になっていたり、中古車を探しても、程度の良いものが新車と変わらないような価格で取引されていたり…。なぜ今、こんな現象が起きているのでしょうか?
買いたくても買えない新車の現状
この数年、自動車業界は複数の要因が重なり、新車の供給が不安定な状況が続いています。
半導体不足
最も大きな原因の一つが、世界的な半導体不足です。現代の車は「走るコンピューター」と言われるほど多くの半導体を搭載しています。エンジン制御から安全装置、インフォテインメントシステムに至るまで、あらゆる機能に半導体が必要不可欠です。この供給が滞ることで、自動車メーカーは十分な数の車を生産できず、新車の納期が大幅に遅延したり、一時的に受注を停止せざるを得ない状況に陥っています。
物流の混乱
コロナ禍以降、国際的な物流網の混乱も生産に影響を与えています。部品の輸送が滞ったり、完成車の輸送に時間がかかったりすることで、工場の稼働率が低下し、供給不足に拍車をかけています。
特定車種への人気集中
特定のボディタイプや人気モデルに需要が集中していることも挙げられます。例えば、広々とした室内空間を持つファミリー向けの車や、アウトドアブームで人気のSUVタイプなどは、元々需要が高い上に供給が追いつかないため、注文が殺到し、結果として抽選販売になったり、納車まで1年以上待つような状況が生まれています。
高騰する中古車市場
新車が手に入りにくいとなると、次に考えるのは中古車です。しかし、そこでもまた別の問題が起きています。
新車の供給不足が直結
新車が手に入らない消費者は、中古車市場に流れてきます。需要が高まる一方で、下取りに出される車の台数が減る(新車に乗り換えられないため)ため、中古車の流通量が減少します。これにより、中古車の価格が高騰し、特に程度の良い人気車種は、新車価格とほとんど変わらない、あるいはそれ以上のプレミア価格で取引されるケースも珍しくなくなりました。
車齢の若い良質な中古車の不足
本来、新車への買い替えで市場に出回るはずだった「車齢が若く、走行距離の少ない良質な中古車」が減っていることも、中古車市場の価格を押し上げる要因です。新車を長期間待つくらいなら、少々高くてもすぐに乗れる「ほぼ新車」状態の中古車を選ぶ、というニーズが高まっているのです。
今後の見通しと購入戦略
現状の半導体不足や物流の混乱は徐々に解消されつつあるという見方も出ていますが、完全に安定するにはまだ時間がかかると言われています。特定の人気車種については、今後も品薄状態が続く可能性があります。
もしあなたが今、人気の車を検討しているのであれば、
- 早めにディーラーで相談する: 希望の車種があるなら、まずは正規ディーラーに相談し、最新の納期状況や抽選販売の有無を確認しましょう。
- 複数の選択肢を検討する: 第一希望の車種にこだわらず、代替となる他のボディタイプやメーカーの車も視野に入れることで、選択肢が広がり、早く手に入る可能性があります。
- 中古車市場の動向を注視する: 中古車もすぐに欲しい場合は、価格と程度をよく見極めることが重要です。新車価格と比較して本当に妥当な価格なのか、冷静に判断しましょう。
車は私たちの生活に欠かせないツールであり、大きな買い物です。計画的に、そして賢く情報収集をして、あなたのカーライフにぴったりの一台を見つけてくださいね。
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